マレーシア・タマンネガラ / Taman Negara '13

2013年6月 2日 (日)

Garnet Pittaとの邂逅

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ムラサキヤイロチョウ ( Garnet Pitta / Erythropitta granatina coccinea




さて、もう早くも6月で春の渡りも終わりですね。夏鳥たちは繁殖地で忙しいころでしょう。そんななか、まさに今が旬といえばそう、ヤイロチョウ。

日本のヤイロチョウは残念ながらまだ観察できていない。個人的には向こう数年の課題のひとつです。まだまだ国内にも楽しみがあります。20代にして国内での楽しみがほぼない、というのも寂しい話ですからね。楽しみは取っておくものです。

海外では今のところ4種。海外もまだまだ楽しみがあります。ヤイロの類が近くに多く生息しているのはアジア人の特権でしょう。



今春のマレー半島では数種確認したが、満足して観察できたのはこのムラサキヤイロのみ。Pittaの仲間はどれもこれも相当なSkulkerなので、鳴き声だけのことがほとんど。ただ、色彩は極めて美しく、体型はタマゴ型で比較的大型で、見つけた時の興奮といったら言葉では言い表せない。一度その姿を見ると一気に虜になる。この森の中にこんな生物がいたのか!と驚愕すること間違いなしです。





マレーシア初日、手始めに最も近くのトレイルに入っていく。すでに夕方なのであまり期待できないが、久しぶりの熱帯雨林に自然と気持ちが高揚する。遠くではセグロカッコウやオウチュウカッコウの鳴き声が聞こえる。相変わらず鳥はほとんど見られないが、前方をガビチョウのようなシルエットが横切った。んん?と思いながらシャッターを切ろうとするが、一瞬で消えてしまった。

それにしてもこんな低地にガビチョウ類なんていたっけな、なんて思ってると、同行者が「今のクイナチメドリだよね・・・」という。

ええ?確かに!くそう、やっちまった・・・。あんな感じの鳥なんだ。と思う頃にはすでに手遅れ。。ジャングル入ってまともに見た初めの鳥がクイナチメドリとはなんてクレイジーなんだろう。気持ちの準備ができてない状態で出てもらっても困るったりゃありゃしない。初っ端から衝撃と悔しさが入り混じる。クイナチメドリは東南アジアで探鳥する者にとってはヤイロいやそれ以上の価値がある鳥だ。シャッター切っていたら・・・。




なんなんだ、と思いながらもまた少し歩を進めると今度は比較的近くから若干尻上がりの口笛のような声が聞こえてきた。間違いない、ガーネットだ!



私も口笛を吹いたりして呼び寄せる。ひたすら辛抱。



いったい何分経っただろうか、もうかなり近くで鳴いている。これはもう見られるんじゃないかと、木々の間を見透かすと・・



20mほど離れている場所で黒っぽい物体が枝に止まって鳴いているではないか!やった、正真正銘のガーネットピッタ!


ひたすらシャッター切りたいところだが、同行者に場所を伝えられない。木々が茂った中で距離感が様々な状況では意外にも自分以外に場所を伝えるのは難しい。しばらく経ったところでやっとわかってくれて一安心。このときほどポインターが欲しいと思ったことはなかった。



このときすでに18:30。暗い暗い。それでも向こうからもこちらの姿が見えにくいのか、ずっと鳴いている。かれこれ20分観察できた。最後はトレイルを横切って、美しい背面を見せてくれた。



シャッターチャンスは半分くらいしか活かせなかったので残念だが、20分も見られたのは奇跡に近い。クイナチメドリもほとんど同じ場所で見ていることを思うとおそろしい・・・。我々はその場所を「聖地」と呼ぶことにした。

そのトレイルはよくいるとされる場所では全くなく、かなり予想外だった。このクイナチメドリとムラサキヤイロチョウはタマンネガラのTarget birdのなかでも難しい存在。この2種を押さえるためのトレイルもあるが、船を使わないといけなかったりする。


ちなみにクイナチメドリとムラサキヤイロチョウは鳴き声も似ており、過去の観察記録を読んでも、いる場所が共通している気がする。もしかしたら互いに何か意識しあっているのかもしれない。この謎がわかったらどんなに面白いだろう・・。



それにしてもこの鳥と「会話」をしている時が今年一番印象に残っている。自分自身で見ることができたというのも至高の喜びだった。これがピッタを自分で見つけることの楽しさなのか・・・。これほど見つけ甲斐のある鳥もいないだろう。





というわけで、最近はすっかり小鳥、それもSkulkerかつ宝石のように美しい鳥にハマってしまっている。猛禽や水鳥も以前と変わらず好きだが、探すのが難しい鳥の魅力を知ってしまった。鳥の世界は深い・・。


2013年3月12日 (火)

アブラヤシプランテーションの守り神

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メンフクロウ (Barn Owl / Tyto alba javanica)





さて、マレーシアやインドネシアには広大なアブラヤシのプランテーションがあります。行かれたことのある方ならわかると思いますが、良好な熱帯雨林が保たれている国立公園や保護区のすぐ外にはアブラヤシプランテーションが広がるのは普通の光景です。うんざりするかもしれませんが、私達日本人も重要な消費者であるので簡単に批判はできないはずです。知らず知らずのうちに食品や化粧品などの日用品に含まれているので毎日使っているといっても過言ではないでしょう。

ということを知ってる方は多いとは思いますが、ではプランテーションの大まかな生態系はご存知でしょうか?




まあ私もすべてを知っているわけではありませんが、今回少しだけ知ることが出来ました。




現地の人に聞いた話ですが、カギはネズミの増加です。アブラヤシの実を狙ってネズミも増えるとのこと。それによりネズミを捕食するネコ目動物(ベンガルヤマネコなど)やコブラ(一応Black Cobraと言っていたが、果たしてそれなのかはよくわからない。分布的にはキングコブラな気もするが・・)、フクロウ類が増えるのだという。


で、まあフクロウ類ですが、私の観察した限り、メンフクロウ、マレーワシミミズク、マレーウオミミズクを同じ場所で確認しました。マレーウオミミズクは魚ばかり食べるイメージですが、両生・爬虫類、甲殻類、大型水生昆虫、小型哺乳類、鳥類なども捕食するらしいです。


ただ、マレーウオミミズクやマレーワシミミズクは見られたらラッキーな部類で、圧倒的にメンフクロウが多い。やはりプランテーションの近くには農耕器具などを保管するための納屋が多いのが理由かもしれない。Barnとは納屋のことであり、塒や営巣はこういった場所を使う。



マレーシアのアブラヤシプランテーションの歴史はそこそこあり、かつてはネズミ駆除のためにワルファリン(有名な殺鼠剤で、血液凝固に関与するビタミンKを阻害することにより抗凝固作用を発揮する)とフクロウを組み合わせようとしたが、フクロウが減ってしまったらしく、結局ワルファリンはやめて、天敵となる動物に任せようとなったらしいです。


まあそんなわけで、ネズミ食いのメンフクロウは個体数を増やし、今ではアブラヤシプランテーションの生態系のトップに立っているというわけです。




ところで、メンフクロウというと、世界中に分布し、最も分布域の広いフクロウ、いや鳥全体でもトップクラスの広域分布種である。Wikipediaによると28亜種書かれているが、ここに載せたのは亜種T. a. javanica というマレー半島、ジャワ島、スマトラ島などに分布する亜種で、基亜種よりも明らかに斑点が多い(体下面など)のが特徴。上面もより暗色らしい。

ネズミの駆除に役立つということで、欧米から連れて来られた移入種かとおもいきや、どうやらもともといた鳥らしいです。




日本の迷鳥マニアのみなさんはミナミメンフクロウあるいはヒガシメンフクロウが気になるかと思いますが、これはメンフクロウとは別種で、スンダランドにはいません。マレー半島やジャワ・スマトラ・ボルネオがすっぽり空いた形で中国東部および南部、ミャンマー、ベトナム、スラウェシ、パプアニューギニアの一部、オーストラリアの一部の沿岸部、ヒマラヤ、インドなどに分布するようです。英名の通り、草地が生息場所なので、狙う場合は黄昏時の牧草地とかでしょうか・・。まあ再び記録される可能性は低いと思いますが。




アブラヤシのプランテーションになったことにより、確実に生物多様性は失われると思いますが、そんななかでも独自の生態系が築きあげられる熱帯の懐の深さには感心させられます・・。


都市鳥ならぬ農園鳥なわけですね。



ちなみに本種は結構お手軽な方法で見れちゃいます。現地の1500円程度のナイトサファリツアーに参加すれば高確率で見ることができます。



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