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2012年4月25日 (水)

つばさ

なんか島はすでにいろいろ来てるみたいですね。GW行くべきだったかなあと思いますが、まあいいかな。ライファーになるような鳥を見に行きたい気持ちももちろんありますが、今は鳥を見て幸せな気持ちになりたいという思いのほうが強い。あまり他人と競争とかしたくない。へたれ鳥屋ですが、いいんです。




さて、たまにこのブログの検索ワードで「翼 標本」とかいう感じのものがありますが、世の中には羽標本では満足できずに翼ごと残したいという奇特な方がおられるもんでして、先日そういう方とやりとりがありました。まあ僕の後輩だったわけですが、なんかうちの大学にはそういうひとが過去にも何人かいたみたいで、作りたいひとは多いみたい。


まあググる方の大半が作り方を知りたいらしいですが、あまり役に立たないサイトが多いみたいですね。それも当然で、作るには実践と慣れが必要です。あとどういう仕組みなのかという簡単な解剖もわかっておくにこしたことはない。




まあこんな感じの見栄えになります。


Dsc_4047



Dsc_4048


【種名】 ツグミ (Dusky Thrush / Turdus eunomus


【採集日】 不明(数年前なのは確か・・)


【採集地】 不明(なんで記憶が飛んでるんだろう・・)


【備考】 ♂な気がするが、こうなる前の記憶が全く無いのでなんとも。死因は不明。





いつどこでだれと拾ったか全くもって覚えていない。頭の中にいろいろ詰め込み過ぎるとこういう記憶が消されていくんでしょうねえ・・。いやあ情けないが、この翼の素性がわからん(笑)思い出したら書いとこ。





まあ簡単な作り方でも書いておきます。




①周りに人がいないことを確認(普通の人が見たら驚いてしまいます)してから死体を回収する。素手ではなく手袋などをして、ビニール袋などに入れて密封する。家に帰ったらうがい・手洗いはしておくにこしたことはない。

発見場所が道路脇の場合は車との衝突で死んだ可能性が高いが、そうでなくガンカモやその他の鳥が不自然に死んでいたら鳥インフルエンザの可能性が高いと考えたほうが良い。その場合は各自治体や家畜保健衛生所に連絡すべき。この点は注意してください。


②すぐに処理できない場合は密封したまま冷凍すると半年ぐらいは状態はいい。ウジがわいている時にはタッパー等に入れて密封して冷凍するとウジが死んでやりやすい。



ここから解体。

③ディスポーザブルの手袋があれば着用する。手袋はあったほうがいい。カッターナイフまたはメス(別にいらないが、持っているとスムーズかも)を用意する。


④肩関節を探り、大体見当をつけたら関節を狙ってナイフで皮膚を切開し、関節を露出させ、付着している腱を切断する。これで肩甲骨と上腕骨を切り離せる。

肩羽などを残せる場合も多いので、皮膚はできるだけつなげたほうがいい。


⑤腐敗が激しい場合は上腕骨は外したほうが臭わなくていい。残す場合も外す場合も上腕骨に付いている上腕三頭筋や上腕二頭筋は切断する。上腕骨につなげた皮膚のうち、内側の体羽などしか生えていないいらない部分はこのときに切っておく。


⑥筋肉を取る際のメインである、橈骨と尺骨の間の筋肉を取り除きます。

アプローチの仕方は人により違いますが、私は下部小雨覆の基部をめくって、筋肉が皮膚越しに見えるようにし、皮膚を尺骨・橈骨の向きと並行に切開して筋肉を露出させます。切開線はこれらの骨の近位端および遠位端まで。関節まで行っててもいい。

私がやり方を教えてもらった方はめりめりめりと皮膚を剥いて、尺骨・橈骨を完全に露出させるワザを身につけていました。その場合は雨覆は抜けやすくなりますが、筋をかなり取り除きやすくなりますね。


筋を露出したら、ナイフなどでできるだけ取り除きます。手根伸筋や手根屈筋の部類は起始部と終止部の腱などを切断することで簡単に取り除けるが、中には尺骨に直接付着しているような外側回外筋のように、地道に骨にそって削る必要のある筋肉もある。



⑦中手骨付近の筋(俗に言う手羽先)も取り除きたい所だが、そんなことをすると羽が抜けてしまうので、やめたほうがいい。私は今まで残しておいても問題になったことはない。


上記のように、尺骨・橈骨付近の筋・血管・神経などの軟部組織を取り除いたらもうほとんど終わりです。



この時点で翼全体を熱湯につけたり、食器用洗剤で洗うなど、きれいにしてください。これらのことで病原体が全くいなくなるとは考えられませんが、やらないよりはましだと思います。病原体を気にされる方はそもそもこんなことしないでください。私は最近はいろいろ心配なので翼標本づくりにそこまで執着しなくなりましたが・・。




⑧きれいにしたら、ドライヤーでやさしく乾かしてください。濡れていても元通りのきれいな翼になります。


⑨乾いたら、ダンボールなどに虫ピンやだるまピンなどで羽が乱れないように翼を開いた形で固定してください。翼角、尺骨・橈骨の近位端、遠位端などの三カ所ぐらいをピンで止めれば安定しますが、風切羽が変な形で固定されてしまったら、その基部をピンで止めて向きを整えることもしたほうがいいでしょう。

大型の鳥の場合はハンガーを使って、洗濯バサミなどで止めればうまくいきます。


⑩直射日光を避けて風通しの良い場所でよく乾燥させてください。皮下脂肪が少なかったら数日で乾燥するかと思います。


⑪余裕があればラベルなどをつけておくと私みたいに忘れなくて良い。保存は密封して容器に入れる。防虫剤を入れておくとカツオブシムシなどによる食害を防ぐことができるかもしれない。







まあこんな感じですかね。全てを書いているわけではないですが、概要は書きました。大切なことは鳥インフルエンザが疑われるような場合は手を触れないことです。間違っても死体を鶏舎などに持ち込まないようにしてください。免疫力がもともと弱いブロイラーなどがもし鳥インフルエンザウイルスに曝露されると一気に集団内で蔓延し、大量死してしまうこともあり、とんでもないことになります。高病原性はもちろんですが、低病原性でも変異することで病原性が高くなることもあります。


こういう可能性を常にはらんでいるということを強く意識してください。私は結論から言って現在はあまり翼標本を作ることに乗り気ではありませんし、これから先たぶんよっぽどのことがない限り作りません。多くの場合は学術研究に用いるのではなく、個人の趣味ですからね。将来家畜伝染病の防疫にあたるかもしれない身としてはやはり慎重にならざるをえません。




堅苦しい話で終わるのも何なので、もうひとつ紹介。







Dsc_4053




Dsc_4055


【種名】 コゲラ (Japanese Pygmy Woodpecker / Yungipicus kizuki nippon


【採集日】 2010年4月末


【採集地】 長野県北西部


【備考】 成鳥♂。頭の赤い羽を確認。死因はおそらく交通事故。








ツグミもコゲラも身近な鳥ですが、きれいですよね。出来もまずまずです。体羽もほわほわな感じで残して、露出してしまった骨などを隠すのが私流。ツグミはできてないところを見ると、状態悪かったのかなあ。



またあと何個か紹介しようかと思います。

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